メルヘン街道の麦草峠越え(国道299号)で標高2127mの国道最高地点を経由し
本沢鉱泉林道へ入る。 南アルプスの懐に飛び込む林道体験記
オンロード寄りのタイヤをチョイスしている私のバイクは林道で簡単にグリップを失い、浩のバイクに
立ち上がり加速でついて行くのがやっとだった。
特に減速は苦手で、バイク重量があるのでスピードが思うように落ちない。
そこで手動ABS(ポンピングブレーキ)を強く掛けてタイヤを地面にクサビのようにもぐり込ませて
減速してからコーナーに進入する。
重さとパワーがあるから、
挙動が大きいことを頭にいれておけば大丈夫さ。
バイクをねじ伏せようとすれば自分が吹き飛ばされるので、あくまでもバランスを取って乗る。
スローイン・ファーストアウトの基本を守れば結構ハイぺースで走ることができる。
トラクションを確保しながらアクセルを開ける瞬間が楽しかったな〜。
通行止か〜?!
先日の大雨で土砂崩れがあり道がふさがれていた。
戻るか?進むか? 浩が先を見に行く…・・
「カメ(※1)になる覚悟が有るなら越えられるゾ!」
土砂で勾配がキツイけど左右の岩に気をつければバイクの全幅はクリア出来る。
しかし、1km位先まで落石区間が想像できるが……
「スタック覚悟でいくぜ!!浩 後押し頼む!」荷物を全部降ろして身軽にする。

ガレ場の安定している崖っぷちを、そろりそろりとバイクを半クラッチで押し進めていく。
崩れてくるなよ〜と神頼み…・大きな石を、いくつも乗り越える。
アンダーガードとのクリアランスを確認し、ラインを選びながら前進する。
いきなりエンスト!!慌ててブレーキを掛ける。
推進力を失ったバイクは、ただの鉄の塊にすぎない。
ずっしりと重くバイクの重量が、腕にかかってくる。
何度も「火事場のバカ力」でバイクを支える。
「くっそ〜重てぇ〜! モタレかかるな〜!!」とバイクに怒鳴る。
セルを回し、軽く身震いした後、エンジンはまた息を吹き返した。
アクセルを開き、後輪がトラクションを失い車体が左右にふれ始めると、
浩が体重をかけてグリップを回復させる
ことの繰り返し…・ 前進あるのみ。 バイクにはバックギアが付いていないから…・・
今度は浩のバイクの番だ。
派手に石を巻き上げながら押し進める!
バイクが激しく上下に揺れて前進を拒んでいるようにも見えた。
エンスト!
このKLRにはセルが付いていないからキックでのエンジンスタートだ。
キックペダルは車体の右側に付いているから、バイクにまたがらないとキックできない。
足場の安定しないガレ場で、またがれば立ちゴケする危険がある。
僕がバイクの右側に回り込み、キックを試みて始動した。
「左側にもキックペダルを付けろよ!」と思った。
メーカーは、それなりの理由で右側に付けている筈だけど…
2台のバイクは無事にガレ場を通過した。
やった〜 決死の岩越え成功!!
旅の疲れを、南アルプススーパー林道にほど近い芦安温泉「芦安村営・山渓園」で汗を流す。
注: ※1 バイクの腹が岩に乗り上げ前後のタイヤが浮き、身動きが取れなく(スタック)なる事
進路を北信地方に向ける。
北アルプスを横目にぐんぐん標高を上げていく。
蓮華温泉の対面にある小谷林道は、5月の29日なのに残雪があり、前進すると
スタックしそうなので引き返した。
ここから約2kmで無料露天風呂があるのに…・・
残念!!
また、雪の無い時期か、チェーンを用意して走破しよう。
![]()
このバイクは180km/h以上の高速走行になるとフレームが暴れだし剛性不足を感じていたけど、
林道に入ると剛性不足の恩恵を感じるのです?!
フレームに細い角パイプを使用することで操縦系統の剛性を意図的に弱めてあるのではないかと思う。
マシンと路面の感度をライダーは常に把握できるし、少々乱暴にねじ伏せるような操縦をしても
フロントの接地感が強いので安心して後輪スライドで旋回させることができるのだ。
以前、雨の林道を技量が伴わないことを承知で、攻めの走りをしていた。
つづら折れのガタガタ道を、コーナーの出口だけを見つめてひたすらアクセルをあけた。
カッパなどまったく役にたたない。 雨と汗でまたたくまに全身びしょ濡れになり、
下着が肌に吸いついて体の自由を奪っていく・・・・・
マシンコントロールどころではなく、バイクの挙動を必死にこらえるのが精一杯だった。
「やばい!」と感じるときは、自分のトレースする未来位置からマシンが外へ外へ押し出されるときだ。
特にフロントが逃げ始めたり、フロントの接地感が薄れ始めたらオーバースピードだから減速するか
グリップを回復させるために荷重をリアに移して安心感の手応えをつかむんだ!
でも、普通ならアクセルを緩めるところだけど、私はアンダーステアにバイクのバンク角を合わせるように、
さらに寝かせてアクセルを開けた・・・・・・ 雨の林道は、簡単に後輪をドリフトさせることができる。
コーナーの出口方向にカウンターを当て、ドリフトしている後輪のトラクションを回復させながら
アクセル位置を調整するわけだけど、急激にグリップが回復するとハイサイドになりバイクから
投げ出される危険がある。
以前に中山さんや高坂さんと林道ツーリングに出かけた時、何度もXLRで振り落とされ、体中の
血液が逆流するくらい事故の恐怖を何度もくりかえし味わった。
ハンドルが90度に折れ曲がり、ペダルやレバーも折れたっけ・・・・ レバー類もアルミ製ではなく
スチール材を使用すればハンドルのように曲がることはあっても、折れることは無いはずなのに・・・・
僕の場合、数々の事故体験のおかげで体が感覚をつかんでいた。
後輪がグリップをつかんで前に押し出し始めたら、自然にバイクが起きてくるからトレースラインを合わせて加速だ!!
決して速い走り方ではないと思うけど、ビックオフロードバイクで積極的に方向を変えるときしばしばこの走りを試した。
重心を後ろへずらしてマシンを旋回させる走法を、私は勝手に「振り子式走法」と名づけた・・・・・
下りコーナーの場合は、急激なエンブレをかけて横すべりさせドリフトに持ち込むこともあったが、アンコントロールになったら
いっかんの終わりだし、今まで無事に生きてこれた事が不思議なくらいバクチ的なコーナーリングだった!
もちろんこれは青春時代の昔話であり、今はバイクで死ぬ人はバカだと思うし、事故る人もへたくそだと
自分に言い聞かせて運転しています。
「無理せず、自分のペースで走りきる!」の精神力が
オートバイクライフを最高に楽しむ遊び方だと思います。

オンロードのツーリングもいいけど! 温泉や林道めぐりの旅もいいよね〜。
![]()
真夜中の天竜スーパー林道越え
天竜市に入るとやたらと「天竜市が生んだ世界の偉人 本田宗一郎」の看板をよく見かける。
ここは奥三河国定公園にも指定されている。 浜松市から始まる国道152号からはずれ、
目印の秋葉神社が、天竜スーパー林道の入口だ!
天竜川沿いの尾根を長野県茅野市まで抜ける総延長100km以上のダート道なのだ。
でも最近は、急速に舗装化が進み林道愛好家にとっては悲しい限りです。
林道入口でのスナップ・・・・
燃料満タン。 工具類、温泉用具 OK!
真夜中の 0:00丁度にスタートだ。
路面の状態は、わだちが深いもののフラットダートのGoodコンデション!
このあとのパンクを誰が想像しただろうか……・

1時45分 岩を乗り越える際、フロントタイヤを強く当ててしまい、鈍い音をたてて空気が抜けていく。
「やっべ〜 パンクだ!」
林道脇に野鳥の森建設用資材置き場があったのでバイクを避難させてパンク修理のはじまり…・
バイクの腹にブロックをかませて、前輪を持ち上げる。
チューブタイヤなので、要領は自転車と同じだ!
でもタイヤはチューブレス用なのでなかなかタイヤのみみ(ビード)が落ちなかった〜
チューブに2箇所! 亀裂が入っていた。
ホイールはディスクを傷つけないよう、木枠でヤグラを組んでかさあげして横置きする。
チューブにゴムパッチを張り、タイヤをホイールにはめる。
このときタイヤのみみの部分に、ビードクリームを塗っておくとホイールリムにすんなり入るよ!
無ければエンジンオイルで代用だ!
am3:45 眠い〜

チューブのネジレが無いよう、タイヤに空気を少しずつ入れていく。
漏れが無いことを確認してバイクに取り付ける。 やっと完成だ!!
後輪のパンクだったら、もっと大変だったな…・
小渋温泉にて
作業終了 am5:05 で 仮眠
zzzzz……・爆睡
am10:00頃に目覚め、スーパー林道をひた走る。
pm5:00 小渋温泉・赤石荘に到着した。眺めのいい露天風呂に浸かり、握手をかわして浩と別れる。
小学校から友人の彼とは名古屋と千葉の距離でありながら、都合が合えば人生のランデブー走行を
楽しんでいます。
カリスマライダーである浩とは・・・・
浩に出逢い、話を聞いて、人間にとって一番大切なことは、自分らしく生きることではないかと思う。
彼は日本中の旅に出て、本当の価値を見つけたのだろうか?
がむしゃらに何かをつかみたかったに違いない。 何を求めているのか分らないけど…
自分探しの旅に出て、自分の求める何かがあるのかな〜?
立ち止まって正しい道を探せば、後戻りすることになるかもしれないけど、目的地にはずっと早く着く。
人生の価値は給料や地位や名声じゃない。 彼を見てそう思う。
自分で考えて、自分で実行した事って失敗してもくよくよと後悔しないから、
自分の考えに素直に生きていると思うな〜。
「大事なことは、自分で考え、力いっぱい生きること。」と
彼は言っていた。
「自分で決めたことだからしょうがね〜か」と考えれば、一歩、一歩前進できると思う。
「自分の中での発見やつかみかけた感覚は生きていることを感じる。」
彼の言葉は僕に勇気と共感を与え、こころを捕らえた。
限りある人生、楽しくしなければ人生じゃない。 失敗して帰ってきてもいいと思う。
後悔は後でするもの。
やって後悔するよりは、やらずに後悔するほうが、ずっと後悔が大きいと思う。
スパーンと日常生活から飛び出し、人生をかける旅に時々彼はでかけます。
まー困難の伴う人生のロングツーリングだけど、彼の行動力と、体力と、バイタリティーがあれば
その後も何をやってもうまくいくと思うし、乗り越えて生きて欲しいと思います。
頭が干からびて、体がカチカチに硬くなる前にいろいろチャレンジしているのだから…・
こんな身勝手な言動や社会逃避が許されるとは思いませんが、やっぱり夢を追いかけていく、浩の姿を尊敬している。
私には彼の真似は出来ないけど、浩から学んだことは心のカテとし、また多くの経験が出来たことは
財産として大切にしていくつもりです。 まっ!誉めすぎたけどこれからも頼むわ!
彼の残した言葉を絡めとりながら、僕はギアを一段シフトアップしてアクセルを開けた。……
オートバイは僕らの可能性を確実に目的地まで導き
夢(目標)を叶えてくれる最高の相棒なのさ!
いつもお互いヘルメット越しに「死ぬなよ…」とだけメッセージをピースサインで送り
それぞれの道を走っています。付かず離れずの距離感をつねに維持しているからこそ
何年間も音信不通であっても、ココロの腐れ縁で小学校から気にせず付き合えるのかな〜
そういえば浩とは、一度もクラスが一緒になったことは無いけど、いつ知り合ったっけ・・・・・